パプキンの飼育〜中級者用〜
ここではパプキンの飼育にそこそこ慣れた方や外産種の飼育の基本を掴んでいる方向けの、
飼育方法というよりはテクニックに近い部分の紹介をしていきます。
私が試行錯誤し、得た経験から語っているので完全に正しい方法とは言い切れません。
また、ここで紹介した飼育方法でいかなる不都合が発生しても
当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください。
〜産卵編〜
■用意するもの■
■産卵セット&割り出し■
・パプキン成虫ペア ・ケース ・産卵用のマット ・ 転倒防止用の木っ端など ・餌ゼリー ・プリンカップ ・マットプレス |
・パプキン成虫ペア
パプキンの色は次の世代に遺伝します。
しっかり成熟し、健康なペアはもちろん、累代飼育をするのであればできる限り色のよいものを選びましょう。
・ケース
初心者用では小ケース以上を勧めましたが、ぶっちゃけミニケースでも産卵数にはさほど影響は出ません。
しっかり卵や幼虫を取り出せるならスペース的な問題でミニケースの方が管理しやすいでしょう。
蓋がしっかりしているなら100均で売っているケースでも全く問題ありません。
・マット
お勧め用品のページで説明してますが、しっかりしたマットであれば安価なものでも大丈夫です。
初心者用ページで書いたようにしっかり発酵が落ち着いていればなんでも産みます。
・産卵防止用の木っ端など
ここは横着できません・・・。しっかり入れてやらないと歩くのが下手なパプキンは転倒死してしまいます。
産卵セットの中に♂を一緒に居れ、動く転倒防止機にする方もいらっしゃるそうです。
・餌ゼリー
カブト・クワガタ用に売られているゼリーなら何でもかまいませんが
出来れば高たんぱくと書かれているものが望ましいです。
・プリンカップ
気になる方は狭いプリンカップで同居生活をさせたほうが安心できますが
ペアリング作業をすっ飛ばして♂♀同時に産卵ケースに放り込んでも結果は変わりません。
余裕のあるときはプリンカップでペアリング確認をしたほうがいいとは思いますが・・・
・マットプレス
市販品はやたら高い上に自作のでも同じような効果を期待できるので自作がお勧めです。
■産卵セット&割り出し■
さてさて、ここからが初心者用のセットと大きく違います。
巷で"かんろ式"と呼ばれている方法を使います。
※リンクの承認を得ていないため、オリジナルのページを知りたい方は
「かんろの甲虫倶楽部」でGoogle検索にかけると上から5番目くらいに出てきますのでそちらをご覧ください。
・かんろ式って何?
簡単に言うとマットを固詰めすることにより、産卵木の変わりにするセット方式です。
産卵木を使わないということは、産卵木を買う費用を抑えられ、割り出しの作業をスムーズにでき
さらに割り出し後の木っ端の片付けの手間を減らすという大きなメリットが多数あります。
真偽は不明なものの、産卵木に坑道を掘る労力がなくなるため、その分のエネルギーを産卵にまわすことで
産卵数の増加も望めるそうです。
では実際にセットを組んでみましょう。
ここで説明するのは私が本家かんろ式を知る前から使っていた方法なので、若干違うところがあるかもしれませんがご了承ください。
・マットに加水する。
パプキンはアンテやオオヒラタなどのセットと同じマット、同じ水分量で産卵させることができますが
この方法をとると底の方が酸素不足で腐ってしまうため、粒子が細かく発酵の進んだマットを使用する場合は
若干水分を少なめに調整した方がいいかもしれません。
マットを詰めた時、にじみ出た水分がケースの壁面から確認できるようでは加水しすぎです。
・ケースに詰める
この方法を使うと、産卵木を使わない上、固詰めするのでその分マットが必要になります。
いつもより多めに用意した方がいいかもしれません。
マットを詰める時は、ケースいっぱいにマットを入れて詰めてしまうと下の方の詰めが甘くなってしまうので、
ミニケースなら3回、小ケースなら4回くらいに分けて詰めるといいでしょう。
特に底から3cmくらいの部分は一番産卵が期待できる場所なので、最初は少しだけマットを入れて
念入りに詰めると産卵数増加が期待できます。
2回目以降は縁いっぱいにマットを入れて詰めるといいでしょう。
この部分にも産卵しないことはないので、しっかり詰めましょう。
ケースの7分目くらいまで固詰めが終わったら、少しだけ上にふんわりとマットを被せて木っ端を乗せてください。
蓋とマットの間を狭くするとどういうわけか産卵を渋ることがあるので、マットの上部と蓋の間には5cmくらい
スペースをとると失敗が少なくなります。(間が狭いと群れるため?)
本家の方にもありますが、このときすでにペアリングが済んでいる♀であれば中央に穴を開けて
その中に落とし込んであげればスムーズに産卵へと持っていくことができます。
また、嵩の高いケースを使用している場合、マットの底の部分が酸欠にならないように同じような穴をいくつか
あけてあげるとマットが安定した状態で長く保つことができます。
・産卵確認
産卵経験のある♀や産卵準備が整っている♀であれば、遅くても3日以内には坑道を確認することができます。
もし3日経ってもマットの上で♀がうろうろしているようであれば、何かしら気に入らない要素があるということです。
そのまま放置していても産まないことが多いので、セットを組みなおすなりペアリングをしなおすなり、
なにかしら手を加えてやった方がいいでしょう。
・割り出し
いちいち割り出す余裕のある方は産卵を確認してから1週間後、無い方は幼虫が見え始めたら1回は割り出し
を行った方が良いと思います。
流石にミニケースや100均のケースだと狭いためか、♀が死ぬまで1回も割り出しをしないと幼虫の回収数が
落ちる傾向があります。
1回産卵した場所にもう1回♀が行ってしまい、卵を潰すとか育った幼虫を♀が食べて蛋白源にしているとか
諸説ありますが、産卵数を最大限にしたい場合は最低でも2週間に1度は卵を回収したほうがいいと思われます。
・卵の管理
上記のように早いサイクルで割り出しを行うと、当然卵での回収が多くなります。
こういったとき、正しい卵の扱いを知ってないと殆どの卵をダメにしてしまうという悲惨な状況になってしますので
デリケートな卵はきちんと扱ってあげましょう。
私が行っている卵の保管方法は、200ccのプリンカップの8割くらいに幼虫飼育用のマットを詰め
ボールペンの反対側などで隣接しないように10個ほど深さ1cm程度の穴を開け、そこに卵を落とし込みます。
この時、壁に沿って穴を開けると穴間の間隔を測りやすいですし、卵の成長を側面から見ることができるので
お勧めです。しかしカップ内が蒸れていたりするとカップの側面にできた水滴に卵が触れてしまい、腐ってしまうことが
あるので気をつけてください。
また卵を移動するときは素手で触ってしまうと孵化率の低下につながるので、極力スプーンなどの道具を
使うようにしてください。
・幼虫飼育へ
200ccの容器に卵を10個も入れてしまうと、流石にそのままでは共食いが起こってしまいます。
ですので、全ての幼虫が初令後期〜2令中期になったのを確認したら大きな容器で個別飼育をしてあげてください。
2令中期ともなれば大体であれば♂♀の判別もつくようになるので、♀だったら100ccの容器へ
♂だったら200ccの容器へと移してやると場所とマットの節約になります。
その後の幼虫飼育は初心者用のページと同じなので、幼虫飼育について知りたい方はそちらをご覧ください。