パプキンの飼育〜初級者用〜


ここではパプキンを飼うのは初めて、またクワガタ飼育を
始めたばかりという方向けのブリード方法を紹介します。
基本に則った、失敗の少ない方法を紹介しますので
んなことわかっとるわい!もっと楽して効率のいい方法はないのか!?
という方は中級者用にお進みください。

尚、ここで紹介した飼育方法でいかなる不都合が発生しても
当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください。

■産卵編■
■幼虫飼育編■

〜産卵編〜

幼虫飼育、成虫管理、産卵など各ステージによってやることは変わってきますが
最初にパプキンを飼育する上で一番のキモだと思われる産卵について触れていきます。

■用意するもの■

・パプキン成虫ペア     
・プラケース         
・産卵木           
・マット            
・転倒防止用の木っ端など
・餌ゼリー         
・プリンカップ 
・マットプレス(なくても可)
 それでは各用品について説明します。
・パプキン成虫ペア
 ♂♀ともしっかりと成熟しているものを選びましょう。
 一般的に餌を食べ始めたら成熟していると言われてます。
 ♂♀ともに羽化後1ヶ月以上経っているものならばまず問題はないと思います。
 ペアリング前にはしっかり餌を与えときましょう。
 ワイルド個体の場合はもうしっかり成熟し、交尾も済ませてる場合が多いです。

・プラケース
 一般的に売られている規格では小ケース(Sサイズ)もしくは中ケース(Mサイズ)のもので十分です。
 ミニケース(SSサイズ)でも問題なく産卵しますが、ここでは小ケースをお勧めしときます。

・産卵木
 しっかりと白枯れしていて柔らかい物がベストです。
 よく言われているように爪を押し付けて後が付く程度に柔らかければ問題ありません。
 皮は剥かないで入れると後で面倒な事になると思うので事前に剥いどくといいでしょう。

・マット
 恐らく一番重要になってくる部分だと思われます。
 基本的に発酵が程よく進み、粒子の細かいものが良い成果を出しますが
 正直粒子が荒くても発酵が浅くても産むことは産みます・・・(笑)
 大事なのはマットの質ではなく、マットの状態なので、現在進行形で
 発酵が進んでいるマットは避けてください。
 解りにくいですが私が産卵に使っているのはこのような状態のマットです。


・転倒防止用の木っ端など
 パプキンはとにかくよくひっくり返るのでひっくり返ったときにつかまるものが必須になります。
 パプキンがつかまって起き上がれればなんでもいいので
 産卵木を剥いたあとの皮や、幼虫を取り出したあとの割りかすなどで結構です。
 
・餌ゼリー
 カブト・クワガタ用に売られているゼリーなら何でもかまいませんが
 出来れば高たんぱくと書かれているものが望ましいです。

・プリンカップ

 ペアリングセットするときに使います。♂が大きい場合、120ccじゃ狭いので
 200cc以上のプリンカップを用意してください。

 それではいよいよ実践に入ります。
 まずやることはパプキンペアのペアリングです。
 パプキンは♂の挟む力が弱いので、♂♀一緒に産卵セットへ投入しても全く問題はありませんが
 広いケース内では出会いの機会が減ってしまうため、先にペアリングを済ませてから
 投入したほうが確実に、より早く産卵させることができます。


こんな感じでプリンカップの中に浅くマット(写真ではミズゴケですが)を敷き、
転倒しても大丈夫なように何かつかまるものを置いてゼリーをセットするだけです。
成熟した♂♀ならばこの状態で3日も置けば交尾はすんでいると思いますが
念のため1週間ほどこの状態で置いておきましょう。
※人前でも平気で交尾をするので、目の前で交尾を確認したら
1週間置かなくても産卵セットへと投入してしまっても大丈夫です。

次に産卵セットを組みます。
用意したマットが乾いていた場合、加水をして半日ほど置きます。
ここで重要なのがマットの水分調整です。
よく書籍やネットの飼育法には「ぎゅっと握って手を開いて崩れないくらい」と書いてありますね。
若干伝わりにくい書き方ですが、正直これ以上伝わりやすい書き方が思い浮かびません(笑)
個人の握力にもよりますが、ぎゅっと握って水が染み出てくるようでは加水しすぎです。
加水しすぎだと産まない上にケースの中で腐ってしまうので
天日にさらすなどして水分を飛ばしてください。
個人的にはオオヒラタ系のセットと同じくらいの水分調整が一番適してると思います。
先ほども触れましたが、発酵が進行中でないかもう一度確認してください。
熱を発するほどの発酵が進行中だとまず産まないので
その場合は発酵が落ち着くまで待ってからセットしてください。

いい感じのマットが用意できたらそのマットをケースに移します。
パプキンは材にもマットにも産むので、ほかのマット産みの種類と同じように
マットの底から3cmほどは硬く詰めます。
それはもうカッチンカッチンに詰めます。
私はたまにケースの底にヒビが入るくらい硬く詰めてます。
ただし、水分の多いマットだと極度な硬詰めは底部の腐敗の原因となるので気をつけてください。


写真のような専用のマットプレスがない場合、産卵木や瓶の底などで詰めても大丈夫です。

そしたらその上に半日ほど水につけておいた産卵木を置きます。
どの種類でもそうですが、材産みさせる場合は2本以上の産卵木を使うのが望ましいです。
しかしパプキンの場合産卵セットのケースが小さいため、1本しか入らないことが多いので、
どうしても心配な人は中ケースに2本入れてください。
ただパプキンはあまり材の質にはうるさくないので1本でも問題なく産卵するケースも多いです。
産卵木をおいたら産卵木がぎりぎり隠れない程度にマットを被せます。
その上にゼリーや転倒防止材を置けばて♀を投入すれば完成です。


こんな感じ。
最近流行の小バエ進入防止ケースなどを使っている場合はそのまま蓋をして結構ですが
蓋に隙間がたくさん開いているケースを使っている場合は蓋とケースの間に
ビニールを一枚はさみ、錐などで小さな穴をいくつか開けてやると乾燥しにくくなり
また小バエの進入も防げて一石二鳥です。
飼育温度は25〜28度が一番産卵に向いていると思われます。
30度前後になっても平気で生きているし産卵もしますがケース内が蒸れてしまうため
夏場の温度管理が出来ない場合は通気性の良いケースを使いましょう。

この方法でやったけど産まないぞ!という方は以下の点についてチェックしてください。

・成虫が未成熟でないか、また未交尾でないか
→羽化後1ヶ月以上経っていても、ペアリングセットしたのが未成熟の段階だと交尾は済んでいません。
もう一度ペアリングセットからやり直すか、産卵セットに♂を入れるかしてください。

ケース内が蒸れていないか
→気温が30度前後で密閉性の高いケースだとケース内が蒸れてきます。
パプキンはこの状態が好きでは無い様で、ケース内が蒸れているセットはほぼ失敗に終わります。
マットにももぐらず餌も殆ど口にせず、マットの表面をうろうろしてる場合はこの状態が多いです。

・マットが発酵中ではないか
→しつこく触れているように、マットが発酵中だと全く産みません。
一見落ち着いていたマットでもセットするときに硬詰めすると再発酵が始まってしまうことがあるので
セットした後はこまめに確認してください。また、温度が高いと再発酵しやすくなるので注意してください。

・乾燥しすぎてないか
→当然ですがマットが乾燥しすぎていると産卵しません。
表面が乾く程度なら大丈夫ですが、マット全体がさらさらしているようだと乾燥しすぎです。

1回産まなかったセットを使い続けていないか
→一見なにも問題のないセットでも2週間ほど経っても全く産卵していない場合はセットし直したほうが賢明です。
理由はわかりませんが、1回セットをひっくり返してマットを混ぜて詰め直すだけでも産卵が始まる場合が
あるので、しばらく経って産卵している様子がない場合は再セットしてみましょう。
ちなみに産卵しているかどうかは壁際のマットを見れば大体解ります。
注意深く見ると壁際に卵を見つけることができる場合もありますし、もし見つからなくても
♀が掘り進んだ痕で大体判断できます。


ケースの左隅や右隅のように色が濃くなっている場所が♀が掘り進んだ場所です。
大体ケースの4隅や底面に沿って掘り進んでいくのでわかりやすいです。
ケースの底や壁を齧った痕がある場合も大体の産卵の目安となります。
産卵木に産卵した場合は産卵木が穴だらけになり、削りカスが散乱しているので一目でわかります。

・これらのことは全部大丈夫だけど産まないよぉ!!(´・ω・`)
→そういう♀、います。私のところでもたまに発生します・・・。
どんなに頑張ってセットを変えても環境を整えても全く産まない♀も稀にいるのでその場合は諦めましょう・・・。
外見に問題はなくても生殖器官に問題があるのかもしれません。


〜割り出し&幼虫飼育編〜


■用意するもの■

・マット(or菌糸瓶)
・飼育容器(プリンカップやプラボトル、菌糸瓶など) 
・蟹スプーン
 さて、上記のようにセットしたらあとは待つだけです。
しっかり産卵していれば2週間〜1ヶ月ほどで壁際に幼虫が見えてくるはずです。
マットには産卵せず、材のみに産卵した場合はわかりにくいですが、1ヶ月もすれば割り出しできます。

大きなたらいや衣装ケースの上でケースをひっくり返し、底をぽんぽんと叩いてやると中身が丸ごと出てきます。
産卵木とマットを分けて、慎重に卵や幼虫を探します。
マットの硬い部分や産卵木を割るときに力を入れすぎると中の幼虫をつぶしてしまうので注意してくださいね。
卵を見つけた場合はなるべく素手では触れないように蟹スプーンなどを使って保管用のカップに移してください。
プリンカップにマットを詰め、鉛筆の後ろ側などを使って穴を開けて底に卵を落とすようにすると管理しやすいです。
卵を管理する際にマットの湿度が高すぎるとなぜか孵化しない卵が多くなるので注意してください。

(左から3令、2令、初令の幼虫)
幼虫で取り出した場合はあらかじめ用意しておいたプリンカップや菌糸瓶に1頭ずつ入れます。
大体1ヶ月で15匹以上採れれば成功、30匹以上採れれば大成功といえるでしょう。
1回割り出してまだ産ませる場合は1週間ほど高たんぱくゼリーを入れたプリンカップの中で♀を休ませ
再度同じようなセットを作って投入してください。

パプキンは♂でも小さいので200ccのプリンカップ一つで成虫まで持っていくことが可能です。
200ccのプリンカップでもある程度まで大きくなりますが、流石に40mm以上の成虫は出てこないので
できるだけ大きくしたい!という方は500cc以上のカップや瓶で飼育するのがいいかもしれません。
また、幼虫の餌は発酵マットでも菌糸瓶でもどちらでも育ちます。
ですがどちらを使っても成長は殆ど変わらないので、個人的にはコストパフォーマンスの高いマット飼育をお勧めします。
マットで飼育する場合はしっかり発酵を終えた微粒子マットを選んでください。
ほかの種と同様に、添加発酵済みのマットだとより大きく成長します。
どんなマットがいいの?という方用にお勧め用品のページも作ってありますので参考にしてください。
菌糸で飼育する場合はなるべく古いものを選ぶようにしてください。
生オガに菌が回ったばかりのものを使うと死ぬ事は稀ですが暴れてなかなか成長しないことがあります。
銘柄についてはオオクワのように1mmでも大きく育てたい!という種類ではないので特に拘らなくていいと思います。

保管するときの温度は20度〜30度くらいが望ましいと思いますが、基本的に強い種なので
冬の寒ささえ凌げればあとは常温で何とかなります。
ほかに何か外産の種類を飼育してる場合は同じところに置いて問題ありません。
25度で飼育した場合♀で3ヶ月、♂で4ヶ月ほどで蛹化、羽化します。
パプキンは蛹室を作るのが下手ではないのでわざわざ人工蛹室などに移す必要はありません。
ただ蛹化時にマットの水分が多すぎると高確率で羽化不全を起こすので
その場合は人工蛹室に移したり蛹室の天井を空けたりなどの対処が必要になります。
羽化を確認したら1ヶ月以内に取り出して個別飼育してください。
ドルクス属とは違い、羽化後から活動を開始するまでの期間が短いので
うっかり忘れて放置してしまうと羽化したまま餓死してしまうという事態が発生します。

ライフサイクルが短く、手軽に楽しめる点がパプキンの魅力の一つかもしれませんね。


〜成虫管理編〜


ほかの種類と同じようにプリンカップにマットと餌を入れておけば問題ありません。
しかし、♀同士を同じ容器に入れるとすごい勢いで符節を噛み切りあうので注意してください。
また、♂は見かけによらずよく餌を食べよく排泄物を飛ばすのでこまめに掃除してあげてください。
短命な種だと思われがちですが、大事に飼えば♂♀共に半年以上生きます。

TOPへ